黒潮の「謎」解明、湧昇流が栄養塩供給/鹿児島大研究グループ

2020年7月9日

 栄養分の少ない潮流でありながら、イワシやサバなどの回遊魚が成長するのに欠かせない黒潮の謎について、鹿児島大学水産学部の小針統准教授らの研究グループは、「湧昇流が黒潮に栄養を供給している」ことを解明した。欧州の科学雑誌「バイオジオサイエンシーズ」のオンライン版に発表した。小針准教授は黒潮の謎をさらに解き明かすことで、「マイワシやアジ、サバなどの九州周辺で産卵する魚の資源の増減の解明にもつなげたい」と意気込んでいる。

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 黒潮は「海の砂漠」と評されることもあるほど貧栄養で生物が少ない海流とされている。しかし一方で、マイワシやアジ、サバといった回遊性魚介類の産卵海域であり、魚の生活史の中で最も栄養の必要な時に生息する海域でもあることから、「黒潮パラドックス(矛盾)」とも呼ばれる謎を抱えていた。[....]