<23年重大ニュース>処理水の海洋放出を開始

2023年12月26日

ALPS処理水などがためられている原発敷地内のタンク群(日本記者クラブ代表撮影)

 今年は新型コロナウイルスが感染症2類から5類へと移行し、社会・経済活動が通常ベースへと戻りつつある状況で年末を迎えた。年初から予想されていた多核種除去設備等処理水(ALPS処理水)の海洋放出が8月から始まり、中国など一部の国・地域で日本産水産物が禁輸の状態に。一方でホタテを中心に国産水産物を「食べて応援」の機運が高まり、国内に限っては大きな風評被害は発生していない。長らく活躍した捕鯨母船・日新丸は最後の航海を終了。来年には新母船・関鯨丸が竣工する。藻場のあり方やブルーカーボンの議論も深まった一年となった。2023年を振り返る。

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 JF全漁連などの漁業団体が反対の立場を堅持する中、東日本大震災で重大事故を起こした福島第一原発の計画的廃炉を行うために不可欠とされた、多核種除去設備等処理水(ALPS処理水)の海洋放出が8月24日に始まった。年内までにタンクで保管されていた処理水約7800トンを海水で希釈しつつ20日弱にわたり放出する取り組みが3回行われた。廃炉作業と並行し向こう数十年間継続して行われる。[....]