衛生監視業務、ノーコードでデジタル化

2023年4月11日

職員が水産仲卸売場でタブレット端末を操作する様子(市場衛生検査所提供)

 都内の中央卸売市場で衛生監視業務を担っている東京都福祉保健局は昨年8月、新設された「都庁DXアワード」で最優秀賞に選ばれた。豊洲市場の市場衛生検査所の衛生監視業務をノーコード/ローコードツールでデジタル化し、業務効率化に多大な貢献があったと高く評価された。2021年11月に実装したデジタルツールは22年4月から足立市場や大田市場にも導入され、今なお改良が進められている。デジタルに苦手意識をもつ職員もいたが、業務の効率化を目の当たりにして、現場の空気も変わったという。

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 衛生検査所では都民の食の安全を担保する日常業務の一環で、2人一組で早朝のセリ場や販売時間帯の仲卸売場を巡回し、有毒魚の速やかな排除や衛生管理指導などを行っている。ただ、従来は紙ベースの運用だったため、現場の巡回後にデータの転記登録作業が欠かせず、巡回中は蓄積された過去データの検索もままならなかった。また、21年6月に継続記録を重視するHACCPが制度化されたこともあり運用体制を見直す必要に迫られていた。

 問題解決のカギとなったのは、プログラミングの知識が不要なノーコード/ローコードツールの「kintone(キントーン)」だった。都庁内のデジタル推進担当部署の力を借り、基本のアプリそのものの開発はたった2時間、プロジェクトの立ち上げからわずか1か月で、タブレットにタッチペンを使った現場でのデータ作成やデータ検索できる試作品を投入した。使い勝手を試しながら現場の職員も自らツールを使って改良作業を重ね、そこから4か月間で実装までこぎ着けた。[....]