海業振興にBBQの提案 

2023年6月26日

手ぶらで来ても楽しめる「デジキュー浜のうたせ店」

 バーベキュー(BBQ)場の運営や、関連するウェブサービスを提供する(株)デジサーフは、今年4月に全国の漁協と連携した海業(うみぎょう)振興を宣言した。取り組みを通じBBQ場100か所のオープンを目標に掲げている。なぜ漁協と、海業でBBQなのか。高橋佳伸社長に話を聞くと、魚食を広げる格好の機会になることが分かった。

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 同社が漁協と連携した1号店は、和歌山・有田市で今年4月に始まった。JF有田箕島漁協が直営する新鮮市場「浜のうたせ」屋外スペースに、屋根付き全天候型BBQ場「デジキュー浜のうたせ店」をオープンさせた。

 2020年に箕島漁港で誕生した「浜のうたせ」は、新鮮な魚介類を一般客も購入できる市場として人気の施設だ。ただ、購入しても調理の際に大量の煙が出る焼き魚は、家庭で近隣住民に気を使う。漁港グルメを集めた施設内の食堂も人気だが、ピーク時間には行列ができる。提供までの時間を思い、諦めて帰る客の取りこぼしも課題だったという。

 「鮮度抜群の魚をその場で、おいしく楽しく食べたい」。この難題に、デジサーフのBBQ事業がピタリとはまった。

 テーブル席の中央は、炭台が埋め込まれるいろり型で、予約した時間には炭が熾(おこ)っている。利用代金は一時間550円(税込み)。席代には紙皿や箸、調味料などが含まれている。

 食材は「浜のうたせ」で購入して持ち込むため、「地元ならではの魚を選んで買う」という楽しみからBBQが始まる。売場では獲れたての魚介類が焼きやすいよう加工されており、手ぶらで来ても問題はなし。

 解放感あふれる施設内で、煙を出しながら魚介類を焼いて食べる行為は、ワクワク感に満ちあふれる。ゴミは施設内で処理でき、網を洗う後片付けも不要だ。高橋社長は「楽しみ方を制限しない。あくまでも場所貸し」と、システムを説明した。[....]