日本財団「海の地図PJ」養殖、遊漁にも貢献 

2022年11月1日

詳細な海底地形を3D表示することもできるようにする(提供:日本財団、日本水路協会)

 日本財団(東京・港区、笹川陽平会長)と日本水路協会(東京・大田区、加藤茂理事長)は10月から10年計画で日本の浅海域(水深0?20メートル)の詳細な地図を作成する「海の地図プロジェクト」を始動した。専門家からは、漁業やブルーカーボン促進、研究分野での活用にも期待が寄せられている(一部既報)。

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 先に開いた記者会見で、有識者として登壇した東京大学の木村伸吾教授は、浅海域に漁具を設置する小型定置網は、海底地形の影響による潮流で漁網が流れる被害が多いと説明。事前に海底の状況が分かることにより、「地形の影響を考慮した網の建て付けも可能になる」と話す。

 また海面養殖イカダの設置にも、適地選定に役立つと考え、「水産業の明るい未来につながる」と強調。さらに、磯焼け対策やブルーカーボン推進にも地形データは欠かせないとし、「研究活動に大きく利活用できる」と話した。

 同じく会見した神奈川・三浦市で遊漁船業を営む丸十丸の小菅結香船長は、海底地形を知ることで「ポイント(釣り場)選びに役立つ」と話す。訪れたことのない海域や港を航行する際にも役立つ。安全管理の観点からも「座礁事故を未然に防ぐことにつながる」と期待を寄せた。[....]