市場経由率、4年連続低下

2022年9月2日

水産物の卸売市場経由率の推移(重量ベース、推計)

 農林水産省は8月30日、最新版の2021年度「卸売市場データ集」を公表した。それによると、今回新たに発表された新型コロナウイルス感染拡大前の19年度における水産物の卸売市場経由率の推計値は46・5%で、前年から0・6ポイント低下した。前年を下回るのは、16年度から4年連続となった。

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 流通経路の多様化により、生鮮食品流通の中核を担う卸売市場の通過割合は低下が続いている。19年度は令和年間初年度に当たるが、平成年間初年度の1989年度当時の74・6%に比べると28・1ポイントの低下となっており、流通量全体の3割弱が市場を離れた計算となる。

 国産の生鮮水産物は、不安定な生産や運搬時に大量の水が出て場所を選ぶこと、長期保存が利かないなどの性質から、生鮮流通に最適化された卸売市場が「依然、8?9割のシェアを握っているとみられる」(業界筋)が、近年の国内漁獲量の減少に加えて冷凍・加工品の流出が続き、全体の卸売市場経由率の低下は止まらなかった。[....]