大量のアニサキス殺虫に成功、26年に装置の実用化目指す 

2023年9月29日

多くの人出で盛況となった静岡市場水産物部の年末商品展示会

 熊本大学と(株)ジャパンシーフーズ(福岡市、井上陽一社長)は26日、瞬間的に発生させる巨大電力(パルスパワー)にベルトコンベアを組み合わせ、大量の刺身をアニサキス殺虫処理できる装置の開発に成功し、熊本市内でデモンストレーションを行った。処理能力はこれまでの日産300キロから一気に4トンまで増やすことが可能で、2026年の実用化を目指している。

 アジ、サバなど多くの海産魚に寄生するアニサキスをパルスパワーで瞬時に死滅させる仕組みは、マイナス20度Cで24時間冷凍する現行の殺虫法に代わる、画期的な殺虫法として大きな注目を集めている。装置は、パルス電源、高精度塩水生成装置、水中搬送処理機で構成され、瞬時に発生させる1万アンペアのパルスパワーにより、食中毒を引き起こすアニサキスを瞬時に感電死させる。短時間の通電が魚体の発熱を最小限に抑え、適正な緩衝時間(冷却)を設定することで蓄熱がないことが最大の特徴。冷凍殺虫に比べ、ドリップの流出や退色、食感軟化などの品質劣化が少なく、「解凍」の表示義務がないため商品価値を高めることができる。ただ、これまではバッチ式によるかご単位での処理しかできず、大量処理技術が課題となっていた。[....]