元寇船引き揚げに高まる期待 

2022年12月16日

約740年ぶりに引き揚げられた「木製いかり」

 鎌倉時代、隣国・中国で版図拡大に意欲を燃やす皇帝・フビライ率いる元軍が北部九州の島々に侵攻・じゅうりんした元寇(げんこう=蒙古襲来)。その痕跡が残る松浦市鷹島沖に沈む元寇船の引き揚げプロジェクトが地元松浦市で構想され、元寇船の引き揚げ・展示による地域活性化への期待が膨らんでいる。

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 元軍が2度にわたって侵攻した元寇(文永・弘安の役)。神風が吹いて多くの元寇船が沈んだとされる鷹島沖では1980年から3年間、文部科学省の調査事業で海底から引き揚げられた鉄剣・石弾・陶磁器などの遺物により、鷹島沖が元寇船の沈没海域であることを確認。2012年、わが国初の海底遺跡「鷹島神崎遺跡」として指定されることとなった。

 この間、水中考古学の専門家である池田榮治琉球大学教授(当時)の潜水調査で、鷹島沖の海底に沈む元寇船の一部を発見。海中の木材を食い荒らすフナクイムシの食害を受けず、奇跡的に残った歴史的価値のある元寇船の引き揚げ・展示により、世界的に立ち遅れているわが国水中考古学研究と、地元観光業の一層の進展に大きな期待が寄せられている。[....]