元寇船・木製いかり引揚げで地元活性化に大きな期待

2022年10月4日

740年ぶりに姿を現した「木製いかり」

 松浦市(友田吉泰市長)は1、2日の両日、元寇(げんこう=蒙古襲来)で長崎・松浦市鷹島町の沖合に沈む元寇船の一部(一石型木製いかり)を海中から引き揚げた。約740年の時を経て引き揚げられた「木製いかり」は、元寇の史実解明につながる貴重な水中遺物で、世界に後れを取るわが国水中考古学の進展と、元寇をテーマとする地元経済の活性化に大きな期待が寄せられている。

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 元寇船が沈む鷹島沖では1980年、水中遺跡の調査、研究がスタート。2011年に1号沈没船が発見されたことから翌年、文化庁がわが国初の水中遺跡「鷹島神崎遺跡」に指定。奇跡的に残る元寇船の調査研究の第1弾として、クラウドファンディング(CF)を活用した「元寇のタイムカプセル引き揚げプロジェクト」(22年9月15日?10月4日)により「木製いかり」を引き揚げた。総事業費は1936万円、うちCFは936万円。

 引き揚げ作業では、事業主体の松浦市が見学ツアーを実施。CFに出資した宮城県、東京都、神奈川県、大阪府など全国から38人が自費参加し、国学院大学の池田榮史教授らの調査グループにより引き揚げ作業が行われた。[....]