丸ごと魚を食べて 「骨なし」研究

2021年8月5日

骨を軟化させたコイの稚魚

 滋賀県立大学環境科学部生物資源管理学科の杉浦省三教授は、3年ほど前から魚の骨を軟化させる研究に取り組んでいる。杉浦教授は「骨なし」と表現するが、正確には、骨がないと感じさせるほど骨を軟化させた状態にする研究。昨年度は「魚食文化復活の鍵を握る『骨なし魚』の養殖」のタイトルで、第5回滋賀テックプラングランプリ企業賞を受賞した。

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 骨の主成分は、リン酸カルシウムで、リンとカルシウムは一定の比率から成る。骨は、古い骨を壊す破骨細胞と、新しい骨を作る骨芽細胞によって、絶えず骨代謝が行われ、維持されている。

 今回の「骨なし魚」の研究では、飼料中のリンを不足させ、魚をリン欠乏状態にすることで、リン酸カルシウムの生成を阻害。この状態を続けて骨密度を低下させ、骨を軟らかくした。[....]