ニッスイのバナメイ陸上養殖、「高水深」が突破口に

2023年4月19日

頴娃の養殖場。海から水を引き込んでいる

 ニッスイが国内でのバナメイ養殖にチャレンジし始めてから実に12年。今年3月10日、フィージビリティースタディー(実現可能性調査)から事業への移行を発表した。組織上でも、水産事業第二部内に頴娃(えい)養殖課を新たに設置。重野優部長と前田充穂課長は水産経済新聞の取材に対し、同社の「独自技術」と考えられる「高水深」の池にすることで、人件費や電気代などのコスト問題の突破口につながったと明かした。

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 同社が中央研究所大分海洋研究センター(大分・佐伯市)でバナメイ試験養殖を始めたのは2011年。鹿児島・南九州市の頴娃町に15年から建設を始めた養殖施設には16年12月に稚エビを導入。養殖方法はエビと一緒に微生物を育てて安定させるバイオフロック式だ。先行していた米国や韓国に倣い、当初は横長のプール(レースウェイ)型を設置していたが、人件費や電気代などのコストが高いという課題が明確になる中、円形池などさまざまな試行錯誤を繰り返し「ほかでは聞いたことがない」という、高水深で角形の池にたどり着いた。[....]