「THE BLUE CAMP」料理で海の未来を伝える

2023年8月18日

「THE BLUE CAMP」の学生らと現場研修をした仲買人の長谷川大樹氏(中央)

 持続可能な海を目指した料理人で組織する「Chefs for the Blue」(東京・渋谷区、佐々木ひろこ代表)は5月から、人材育成プログラム「THE BLUE CAMP」を東京と京都で実施してきた。その集大成として東京チームは、8月11~16日に目黒区の東京大学駒場第二キャンパスで、ポップアップレストラン「azure(アズレ)」を開店。おいしさを切り口に、消費者が水産資源の未来に目を向けるきっかけとする狙いだ。

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 レストランでは、「当たり前を問い直す」をテーマに、東京湾のスズキや未利用魚を使った4品の料理を提供した。それぞれの料理には、「脂が乗った魚本来のおいしさが増す旬を知ってほしい」「未利用魚の価値創造」「漁業者や仲買人の資源管理への思い」など、さまざまなメッセージを込めている。

 「4種の『海の原石』ラグー・パスタ」は、筋張ったバショウカジキの尾の身を使い、肉々しさを表現。コロダイやマツダイ、メジナなども使用し、豊かな味わいに仕上げた。魚の特徴とともに、こうした魚が市場に出回りづらい背景なども解説した。

 東京海洋大学4年生で水産経済を専攻する渡部礼音さんは、「消費者に直接、水産物の価値を伝えられるレストランの可能性に気付いた」と話す。

 佐々木代表は、「現在の水産サプライチェーンは情報が分断されており、生産現場での資源管理の取り組みは消費者まで届いていない」と指摘。「多様な次世代の若者と一緒に水産業の未来を考えることが重要だ」とし、今後も複数年にわたり継続して実施することで、「業界を取り巻く課題解決につなげたい」と展望を語る。

 同プログラムは、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環で、東京チームは水産経済を学ぶ大学生や料理人を目指す専門学校生、米国・アリゾナ州高校の卒業生など、計8人の多様な学生が参加。漁業や飲食店経営の座学のほか、レストラン研修、漁港視察など幅広く理解を深めた。レストランではメニュー構成や調理、サービスに至るすべてを学生が担った。[....]