「三方よし」の挑戦、「ファーストペンギン!」に込めた思い

2023年2月3日

漁業の現場がリアルに描かれたドラマ「ファーストペンギン!」(©NTV)

 昨年、日本テレビ系で放映された「ファーストペンギン!」。俳優・奈緒が演じるシングルマザーが、無縁だった漁業の世界で奮闘するドラマだ。堤真一扮(ふん)する漁業者や、梅沢富美男演じる漁協組合長らとぶつかり、折り合いながら新たな取り組みに挑む姿は、好感、反感問わず水産業界の話題をさらった。ここまで漁業の実情と課題をリアルに描いたドラマは記憶にないが、制作者はどんな思いを込め、何を伝えたかったのか。ドラマの企画プロデューサーを務めた日本テレビの武澤忠チーフ・ディレクターに聞いた。

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 ――ドラマ作成のきっかけは。

 最初に構想したのは4年前。脚色しているとはいえ、実話がベースとなっているドラマなので、実在する人に影響が及ばないよう配慮することに時間をかけました。最後まで見ていただけた方には分かりますが、このドラマには一人も悪役はいません。それぞれの立場で背負っているものや考えが異なるために衝突も起きますが、水産業界に活気を取り戻したいという基本的な思いは皆同じ。主人公が「三方よし」を目指して新しいことに挑戦していく姿を描きました。あまりドラマを見ない50歳代や、子供たちの視聴率も高く、親子で見ていただけたかなと思っています。ドラマに対していろいろな思いを抱かれた方がいたかもしれませんが、私たちは漁業への応援歌として制作しました。[....]