「やっかい魚缶詰」の全国大会開催

2022年12月26日

決勝大会で紹介された10缶。右手前が「境港天然本マグロほーるもんのうま煮」

 「魚が獲れない」という話が取り上げられる一方で、「最近よく獲れるようになった」という魚もある。ただ、「水揚地に食べる文化がない」「サイズが小さく加工に手間がかかる」「臭いが強い」などの理由から、すべてが歓迎されているわけではない。地域で課題を抱える未利用魚(ローカルフィッシュ)を、高校生が缶詰にすることで一般の人も興味をもち、海への関心を高めてもらう全国大会が開かれた。

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 「LOCAL FISH CANグランプリ2022」は、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環で開催された。温暖化により分布域を広げ、資源量も増加傾向にあるシイラやサワラ、ブリといった魚種のほか、高値取引される身肉に対し未利用な部位を?課題魚?として各校が指定し、有効活用の道を探る。

 大会は缶詰の味だけを競うものではない。地域との連携や発信力、課題魚との向き合い方も審査対象になる。未利用・低利用魚といわれる理由はさまざまだ。エントリーした55校は漁業者や水産加工業者に「なぜ利用されていないか」と取材し、どうしたらおいしくなるかを一緒に考えた。

 課題解決に向けみえてきた糸口は、周囲の人々の興味をかき立てるプレゼンで発信し、漁獲・加工・販売に携わる人たちにもコンセプトを共有。大人たちをワクワクさせて巻き込み、商業化へ向けた可能性を高め、「食べて解決」を加速させることで、持続可能な開発目標(SDGs)を現実化させる。海の課題の?解決案?で終わらせない大会趣旨に、生徒らがしっかりと向き合った。[....]