結(ゆい)途中報告

2017年4月11日

 本紙で度々紹介していただいた漁業版ワーキングホリデー「結(ゆい)」の前半が終了した。今回は移住・定住コースもあったので、高齢者のほか21歳の若者と高校生から小学生までの幅広い年齢層に参加していただいた。本当は終了してからと思ったが、別のテーマを落ち着いて書く暇がないので、途中報告させていただくことにした。まず参加者の反応であるが、漁村には都会の人々を引き付ける魅力が確実にあると改めて強く感じた。それはワカメの一連の作業だけでなく漁家の皆さんや漁村そのものにである。

 将来漁師になりたい名古屋の高校2年生が「何でもやりたい」ということで、受け入れ漁家がワカメをゆでるちょっと高度な作業も手伝わせていたが野球部だけあって、あっという間に漁師と見まがうほどに上達し「力仕事をしてもらって本当にありがたい」と感謝され、見るからに充実した様子であった。

 農家のお手伝いの経験もある72歳の方からは、ワカメの作業工程がいろいろあるのを経験し「朝から晩まで同じ作業の農業より面白い」と言っていただいた。2人の方からは、もう帰る前にこの漁期中と5月の連休中に再び来たいとの希望があった。漁家の方とは顔なじみになったので、直接連絡を取って調整してもらうようにした。

 受け入れ漁家側にも確かな変化がみられ始めた。初めは見知らぬ人が隣にいるだけで「ありがたいがそれ以上に気を使う」とぎこちなかったが、連日受け入れが続くと慣れてきて、確実に余裕が出てきたのである。

 幸いワカメの価格は安定してきた。しかし、手間のかかるその作業は親や親戚の高齢漁業者によって支えられている。このままでは、若夫婦の作業終了が遅くなるのは避けられず、需要はあるのに供給が追い付かないことになる。仕事は遅いが、間違いなく作業時間を短縮させるのが結(ゆい)。将来のワカメ漁家のためにもぜひ成功させたい。