逆婚活

2017年7月13日

 島の婚活といえば、独身男性が島外の女性と知り合うきっかけをつくるイベントで、今も行われている。しかし、島の独身女性のための「逆婚活」はない。あってもよいのではないか。それを思いついたのは、男女平等という単純な発想からではない。漁業後継者確保対策としてのIターン向け漁業現場研修制度「漁師塾」を離島でやってみないかという話が行政から打診された時である。

 三重県でも外湾の大型定置網やまき網など雇用型の漁業では、その取り組みが後継者確保に大いに貢献していることを知っている。しかし、離島ではまず無理と直感的に思った。そもそも離島での漁業は、家族や親戚という地縁・血縁関係者で操業している。また特に答志においては、有名な寝屋子制度もあるが、スポーツ活動も盛んで、それを通じた子供の頃からの仲間意識というものが極めて強固。漁労作業に慣れるかどうか以前に、人間関係で入り込む隙間がないからである。

 よって、その強固な絆に入り込むとすれば血縁関係を結ぶしかない。つまり、離島で漁師になりたい島外の若者は、まず島の娘と結婚する「結婚塾」で合格した後に、ようやく「漁師塾」に進めるというシステムでないと駄目だと思った。

 娘さんしかいない漁家もいるので、婿取りのためにもこれは絶対よいアイデアだと思って周りの人に話したが、もう一つ反応が鈍い。それならと思い切って若い未婚の女性に「逆婚活、よいアイデアでしょ」と聞いてみた。ところがその女性は一瞬目が点になったような表情を浮かべ「そんなこと思っている友達に会ったことありません。一日でも早く島から出たい女性ばかりです」と言われ、がっくり。

 後日このことを島外から嫁に来た女性に話したら、大笑いされたあと、「大丈夫、結局その人の人間性次第。立派な人なら受け入れられますよ」と慰められてしまった。島外から来た女性の言葉だけに重く受け止めたい。