和を取り戻す新時代へ

2019年4月11日

 塩蔵ワカメの選別出荷作業の手伝いの手を休めて、新元号「令和」の発表をテレビで見た。「安友」でなくてよかった。しかし、安倍晋三首相の記者会見での発言「平成30年間は改革の時代。抵抗勢力もいたが若い世代は改革を前向きにとらえている。次の時代は、夢や希望に向けてがんばっていける一億総活躍社会となり未来は明るい」には強い違和感をもった。平成の改革とは競争激化であり、それがもたらしたものは「コモンズの悲劇」による共倒れであり「一億総疲弊社会」であったと思う。

 その典型がまさに今起こっているコンビニ深夜営業短縮問題。「人手不足なのに賃金は上がらない」というおかしな経済構造は、需要が増えないところにコンビニが乱立し、各種サービスの拡大をしたから。だからまずは営業時間の短縮をすればよいが、先にそれをやると競合店にお客を取られるからと我慢比べ。しかもコンビニ本部が時短を容易に認めようとしないのは、売り上げの一定金額をオーナーからロイヤリティーとして徴収するシステムのためコストに関心がないから。

 まさにこれこそ「資源管理型漁業」の6パターンのうちの?投入量管理型と?漁場管理型の手法を用い、解決すべき典型的事例である。日本各地の漁業者が長年にわたる資源の成長と衰退の経験則の中から生み出した、漁獲競争を防止し漁民・漁村の共存のために量(資源)・質(魚価)・コストを一体的にとらえる資源管理型漁業の手法こそが、いよいよ一般経済にとっても必要になってきたと思う。

 平成の改革とは、成長路線一本やりのもと規制緩和で競争を激化させ、しかも自分だけ成長すればよいという「敗者は自己責任」を打ち出した結果、経済格差をもたらし確実に日本人の「和」を壊してきたと思う。「不平等が達成」された「平成」の時代から「天からの命令に従い和を取り戻す」という「令和」の時代へと転換してほしいと思う。