こんな生協は応援したい(前編)

2017年11月21日

 JAcom(農業協同組合新聞電子版)で、あの鈴木宣弘東大教授と生協の連合会「生活クラブ」の加藤好一会長との「命と暮らしを守る『協同組合』は一体」をテーマにした対談が掲載された。私はそれを読んで、こんな立派な生協があったのを初めて知った。そのポリシーは「生産者とともに持続的な生産・消費の関係をつくっていく」であり、共同購入されるものは、売買で利益を得る目的の「商品」などと呼ばず「消費材」と呼ばれ、「国産」にこだわり食料自給率向上のために努力しているなど、感心するばかり。さらに、購入先であったJF重茂漁協の大震災からの復興にも尽力されたそうで「生産者とともに」の徹底には感謝せざるを得ない。

 一方、安さを求める消費者からは「生協なんだから消費者の立場で発言してくれという注文が時にある」とのこと。財界・マスコミがいう「日本の消費者は高いものを買わされている」との考え方からみれば当然であろう。しかし、消費者にはもう一つの欲求「将来の食料確保への安心」もある。以前、農業者が書いた本に「何度言っても分からないのなら、補助金全廃でも、輸入全面自由化でもどうぞご勝手に。しかし、自分が生きていくための農作物だけは作り続ける」と書かれているのを読んで、私も消費者の一人として背筋が寒くなる思いをした。

 北朝鮮や尖閣諸島をめぐる緊迫した周辺情勢を考えれば、いつ何が起きても不思議ではない。温暖化による異常気象も心配。にもかかわらず、TPPがポシャっても現政権は執拗(よう)に貿易の自由化を推進するばかり。このままでは、消費者は安さの代償としての将来への不安を抱えて生きていかざるを得ないのか。

 いやそんなことはない。今の安さより将来の安心を求める消費者と生産者との間で「国内食料優先確保制度」という法律で担保された食料難自主防衛経済連携を締結する方法がある。その詳細は後編で。