故・坂井溢郎氏を悼む

2022年5月11日

勲三等を受賞

 全日本漁港建設協会の坂井溢郎(さかい・いつお)名誉会長が今年1月22日に逝去した。「ビッグ坂井」の愛称で呼ばれる通り、漁港業界の最重鎮的な存在であり続け、漁港のために走り続けた。豪快にして繊細?その人生を振り返り、哀悼の意をささげたい。

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 坂井氏が農林省水産庁に入省したのは戦後間もない1948年。食料確保の必要性に迫られ、四方を囲む海に目が向けられた。しばらくの間は水産物は貴重なタンパク源として日本人の胃袋を支えることになるが、当時の漁船は能力が高くなく、冷凍・冷蔵関係もほとんど機能していなかったため、全国津々浦々に流通・物流の拠点である漁港が求められていた。漁港部長などの重職を担った坂井氏は水産庁で30年間、漁港整備に尽力した。[....]