<福島原発取材/11年目の今とこれから①>富岡周辺で感じる復興

2022年3月14日

駅舎に掲げられた線量計

 東京電力福島第一原発事故に伴う多核種除去設備等処理水(ALPS処理水)の海洋放出まで、あと1年余りに迫っている。3・11間近の8日、水産経済新聞社は日本記者クラブ福島取材団に参加した。原発はもとより、東日本大震災後の福島県に足を踏み入れたことがなかった記者が、現場で見た11年目の今を伝えていく。第1回は宿泊地のあるJR常磐線・富岡駅周辺の状況を紹介する。

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 福島県に向かったのは取材前日の7日朝。東京からおよそ240キロ離れた宿泊地のある富岡駅に向けて出発し、新幹線などを乗り継ぎ、夕方着いた。比較的新しい駅舎を進むと、出口付近で早速普段とは違う光景があった。

 大きく掲げられた放射能線量計だ。「0・068μSv/h」と表示している。なじみがなく正直、どの程度の影響がある数字なのかすぐには理解できなかったが、東京にいると分からない福島第一原発の存在を近くに感じた。[....]