<スクーナー㈱樋口信行会長追悼>北欧産刺身用アマエビのパイオニア、エネルギッシュに駆け抜け

2023年8月30日

故樋口会長

 樋口信行スクーナー(株)・(株)洋星会長が3月22日、膵(すい)がんのため87歳で逝去した。樋口会長は東京水産大学(現東京海洋大学)卒業後、大洋漁業を経て、スクーナーを創業。アマエビの扱いを中心に、クジラ製品なども手掛けた。氏は日本で初めてグリーンランドから刺身用冷凍アマエビの輸入を開始。今では寿司や刺身で当たり前に食べている北欧アマエビのパイオニアでもある。1995年には、グリーンランド自治政府から最高の名誉勲章「ナサナット・イン・ゴールド」を授与されるなど功績を収めた。水産業界に新たな商機を生み出した氏の功績を振り返る。

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 樋口会長の功績は、これまでボイルしかなかった北欧アマエビの生鮮流通を実現したことが大きい。今では寿司種や刺身として当たり前のようにある生の北欧アマエビだが、氏が80年代に手掛け、全国に広がった。

 長崎・佐世保市に生まれ、大学は東京水産大学(現東京海洋大学)に進学。卒業後、大洋漁業(現マルハニチロ)に入社し、捕鯨事業にも従事した。自身の人生で最もよかったことを「大洋漁業に入社したことと妻に会えたこと」と残している。大洋漁業を経て、自らスクーナー社を立ち上げ、アマエビ事業に着手。当時、ノルウェーからボイルしたアマエビが日本に入ってきていたが、樋口会長は資源豊富なグリーンランドに目をつけ単身、グリーンランドへ。当初は誰も相手にしてくれず失意の中にあったが、その帰路で偶然にもアマエビ漁を行う船のオーナーに出会い、アマエビ事業がスタートし今に至る。[....]