宮城県、ワサビ生産に本腰で需要増に「勝機」

2023年7月12日

作付けから8か月たち30センチ近くにまで育った「畑わさび」。茎の部分を加工原料に用いる

 宮城県がワサビの生産拡大に力を注いでいる。寿司に欠かせない名脇役として世界的に需要が高まる一方、国内は減産続きで不足が深刻化しているため、後発でも大きな収入源になると判断。手軽な栽培方法「畑(はた)わさび」の普及に取り組んだ結果、昨年秋に10人が試験栽培を開始した。予定収穫量は12トンと少ないが、過去の実績がごくわずかの宮城にとっては大きな一歩。魚やコメに関しては全国有数を誇るだけに、地元の寿司店主らは「ワサビが揃えば正真正銘〝宮城尽くし〟のにぎりが提供できる」として熱視線を注いでいる。

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 ワサビはアブラナ科に属する日本原産の植物。茎などをすりつぶした際に発する強い刺激性のある辛味が特徴で、古くから寿司や刺身、そばなどに添えて食べられてきた。

 国内に広く自生してはいるが、流通品の大部分は栽培物。一般的には清流や湧き水を利用する「沢わさび」が有名だが、それらを使わずに林間の涼しい陰地で育てる「畑わさび」もある。ただ、生産量は減少が顕著。温暖化や豪雨災害によって主産地の西日本が打撃を受けたためで、農林水産省の生産統計(根茎と葉柄の合計実績)によると、2005年に4615トンあったのが21年は1886トンまで落ち込んだ。[....]