<成長のカギは研究にあり!>水研機構編①奥山隼一・主任研究員

2021年5月19日

腹腔内に発信器を装着したスジアラ。腹部に手術痕が残る

 魚にとっての好適な生息域を知ることは漁場を保全するうえで重要です。魚がどのような環境にすみ、そこをどのように利用しているかを明らかにするための手法は、主に潜水観察です。しかし、潜水観察は夜間や深い水深では危険が伴いますし、長時間の連続観察は難しいなどの制約があります。代替手段として発展してきたのが、魚に発信器を装着し、船などに搭載した受信機を用いて発信源(魚)を追跡するテレメトリーと呼ばれる手法です。テレメトリーの歴史は古く、1950年代から行われてきましたが、21世紀に入り海中に設置可能な受信機が開発され、多くの個体を同時に長期間追跡できるようになったことで爆発的に利用が増えました。しかし、この設置型受信機による追跡は、数十~100メートルの受信範囲内に発信源(魚)が滞在した場合、そのIDと時刻を記録するというもので、追跡の位置精度という観点ではよいとはいえませんでした。[....]