迫られた決断/東日本大震災10年検証①

2021年3月1日

大津波が何もかもを破壊した

 東日本大震災に襲われた三陸沿岸の経営者にとって、復興を目指す道程は猶予なき決断の連続だった。避難誘導・安否確認から始まり、雇用と事業の継続、施設の再整備、販路喪失や人手不足への対応、そしてすべての源となる資金調達。目まぐるしい情勢変化に熟慮は許されず、文字通りの即断即決を幾度となく迫られた。それぞれの決断はどんな理由から下されたのか。果たしてそれは正しかったのか。10年という大きな節目に際し、加工業者の声を交えて検証する。

       ◇       ◇       ◇

 「未曽有」と形容された大震災。揺れは大きさも長さも常軌を逸していた。息つく間もなく津波警報。最大高20メートルにまで達する黒い塊が闇とともに押し寄せ、三陸沿岸すべての市町をのみ込んだ。漁船に養殖施設、魚市場、加工場、冷蔵庫…。水産都市を支える基盤はことごとく破壊された。愛する郷土はどこもがれきの山。近しい人の命さえも無慈悲に奪い去った。仕事はおろか、その日の寝食にさえ困窮する極限状態。わずか数分の“揺らぎ”が経営者らをどん底[....]