海洋大で人気「魚食文化論」

2022年9月26日

西潟氏が教えるアジの捌き方を真剣なまなざしで見る学生たち

 「東京海洋大学(旧東京水産大学・旧東京商船大学)は130年以上の歴史をもつが、これまで魚食文化に関する科目はなかった」と、同大学の婁小波副学長は解説する。寿司をはじめとする魚食が海外で高く評価される一方、日本は「魚離れ」が進行。それは現在の海洋大生にも当てはまるという。

 ただ、中原尚知教授は「海洋大生だからといって魚に興味があるとは限らない」と指摘する。魚に詳しい学生もいるが、その知識は趣味の範囲内にとどまっており、網羅的なものとはいえない。それでも社会に出ると、「海洋大生なら魚を捌けて当たり前」と認識されがちで、こうした断片的な評価に悩む学生も多いようだ。

 そこで婁副学長と中原教授に川辺みどり教授も加わった3人を筆頭に、2017年から魚食に特化した講座「魚食文化論」を開講した。海洋政策文化学科の1年生が対象で、魚食普及や食文化の研究に携わる現場のプロたちを招く講座は、オムニバス形式で全15回にわたって行われる。

 今年度は7人の外部講師が登壇し、魚食の歴史や魚食普及活動について説いた。川辺教授は、さまざまな角度から魚食について学ぶことで学生の視野を広げ「『魚に携わる世界は楽しい』と感じてもらうことが狙いだ」と話す。また講座を通して、魚食普及に関わる仕事を知ることにより、将来の選択肢に幅が広がる。[....]