来場者をアッと言わせる水産加工機械の展示、販売を行ってきた中村産業だが、今年もウォーターカッターで魚をトリミングする機械や、レンジで水産物を調理する包装容器などを提案する。日本の水産界の発展を下支えする加工機械の底力をあらわにする。
猛暑の厳しい夏だけでなく、簡単・便利な電子レンジで調理する水産加工品のニーズは高まっている。中村産業は、レンジにもオーブンにもかけられる容器「C-PET」の水産加工品への利用を提案する。
一般的にオーブンにかけられる容器は紙やアルミがあるが、アルミはレンジ対応ができず、紙だと日持ちが短くなってしまう。次世代型素材ともいえるプラスチックの一種、C-PETなら220度Cまでのオーブンにも入れられるうえ、電子レンジでの加熱も可能だ。
さらに、形状記憶特性があるため、グラタンや焼きピラフ、リゾットなどの食材容器として利用すれば、焼いた時に整形時の形に戻ろうとするため、型が安定する。
高性能な水産加工機械メーカーとして世界的に知られているアイスランド、マレル(marel)社から、ポーションカッター、バンドソー、選別機などを紹介する。
50年以上の販売実績をもつAEW Delford社のバンドソーは現在、マレル社の看板の下で販売されている。
大きな特徴は、高速なブレードと低振動なモーター動力だ。ブレードが高速なため、骨の破片やくずを出さず、きれいな仕上がりになる。ブレも少ないため、歩留まりが上がる。結果的に、衛生面や作業者の安全性の向上にもつながっている。
また、ほとんどのモデルは左右両方の手動式なため、安全性にも配慮されている。テーブルトップやガイドを外さずに、ブレードを交換することもできるので簡単だ。
今年のシーフードショーでは、水を刃とするウォーターカッターも映像などで紹介する。ウォーターカッターなら、鋭角に切り取ることも可能で、よりキメの細かい仕上がりが可能になる。これまでは汲(く)めなかったニーズに応えられるといえそうだ。
また、性能の高さが人気のポーションカッターも登場する。サケをはじめとする魚向けとして、各地で利用されている。
画像解析により、高い精度で定量カットができるため、極めて少ないロスに抑えられる点などが高い評価を受けている。
一分間に120個という処理能力をもつコンパクトグレーダーは、頑丈で防水性にも優れている。また、操作性も簡単で、計量データをパソコンに送り管理すれば、サイズ別の入荷量が瞬時に把握できる。
ドイツ、シールパック(SEALPAC)社の深絞り包装機とトレーシーラーが日本に上陸してから約4年。開封しやすい真空パックや、「インサイドカット」と呼ばれる衛生的な仕上がりの容器が増えるなど、日本の水産品の小売シーンに少しずつ変化を起こし始めている。
シールパック社の包装機でガス置換(MAP)包装をすれば、おいしさを維持したまま賞味期限を延長できる商品を作れる。魚種ごとにチッ素、二酸化炭素、酸素などのガスを最適な混合比率で充填することで、鮮度維持が可能になるのだ。
NECファシリティーズの「スーパースラリーアイス」は、0.1ー0.3ミリ程度の微小な氷粒と塩水を合わせたソフトな形状のため、魚体を傷めずに冷蔵保存をさせることができるアイスだ。
塩分濃度は1%でも可能なため、魚種を問わず、魚体を凍らせずに冷蔵保存および輸送することができる。塩分濃度が低いと、魚体表面にストレスを与えずに漁獲直後の状態を長時間にわたり維持できるという。
NECファシリティーズの建築部門と提携することで、水産加工場の増建設の提案も行う。
建築資材価格が高騰する流れの中で、作りたい水産加工品づくりを可能にする加工機械の導入を主に据えた加工場づくりを目指す。
また、ライオンハイジーンとも連携することで、HACCP管理に欠かせない加工場衛生面の維持、管理方法も紹介する。