JCFUという組織

2019年2月14日

 以前から気になっていたことがあった。昨年6月、全国から650人も集めて国会や農林水産省の前で要請行動をした全国沿岸漁民連絡協議会(JCFU)とはいったいどんな組織かと。幸いにも先般、千葉県鴨川市で開催された同会の集いでの講演を依頼され、その謎を解く機会を得た。私なりの結論は、地方の漁協系統や行政が各地の小型漁船漁業者が抱える問題解決のための要請を国につなぐ役割を果たしていない実態、それへの失望感が同会への参加と強い団結心を生んだというものだった。同会への加入動機と感想を漁業者が次のように話してくれた。

 「漁協に頼んでもなかなか動いてくれない。県庁の担当者に要請しても駄目。理由は、補助金などの関係もあり国が決めたことに漁協や県庁が異議を唱えるのが難しいということだった。そういった時、全国の沿岸漁業者で組織する同会に加入し、東京での街頭行動や全国集会に参加したところ、農林水産大臣や水産庁長官に面会ができ、これまで何度も県庁に通い要望しても駄目だった要望事項に対して水産庁から回答がきて驚いた。参加して本当によかったと思う」

 同会は全国各地のカツオひき縄漁船の横断的な連絡組織がその母体である。その後クロマグロの資源管理が始まり少ない漁獲可能量(TAC)で窮地に陥った沿岸マグロ漁業者が加入し、さらには資源減少問題を抱えた小型イカ釣り漁業者も加入を検討中で、会員数が5000人にもなろうとしている。また賛助会員として消費者や研究者も参加している。

 漁業者の意見を全く聞かず策定され、短時間の国会審議で可決成立した改訂漁業法に対する抗議活動すらできない漁協系統と比較し、身銭を切って北海道や沖縄など遠方から東京に出て来る同会会員の行動力には敬服するしかない。本当に困った漁民の思いを受け止め切れていない漁協系統の役員の一人として、私自身も深く反省しなければと思った次第である。