IQで海水温がさがるのかぁ!

2014年10月6日

 8月下旬、久しぶりに札幌を訪れた。私は水産庁で北洋関係の仕事が長く、また道庁から出向された延べ5人の方と一緒に働いたこともあり、札幌出張は皆さんとも再会できるので特に楽しみにしている。

 今回もいろいろなお話をお聞きしたが「オホーツクでブリが大漁」にはいちばん驚いた。それは日本海側のことと思っていただけに、宗谷海峡を越え、冬には流氷に覆われる海域まで回遊したのには絶句。海の温暖化もここまでくると、今後漁業に何が起こるのか、想像がつかず不気味である。

 そこで気になるのが、日本海北部系群スケソウ資源の減少。海水温の上昇がその原因と断定されていないが、そうだとすると従来の資源論「親を増やせば子も増える」が全く通用しないことになる。
 私は資源回復計画での実践を通じ、チャンスを待てば資源は必ず回復できるという自信を得た。また、幻と化した資源ですら、石狩湾ニシンのように集中的な種苗放流で復活できることも知っている。が、この資源だけは「すべては水温様のおぼしめし」という気がする。

 以前から感心することがある。それは、漁獲量は大きく減少しているのに、沖底のCPUEは以前と変わらず、延縄では逆に増加していること。網を入れればまだ多く獲れるのに、それでも操業を切り上げる。資源を守りたいという関係漁業者の真剣さが伝わってくる。しかし、「親を獲り残せば、必ず子が増える」と誰も保証できず、結局「水温様」次第の神頼みの資源回復で、人間の無力さを感じる。

 このような状況下でABCなど正確に推定できるはずもないのに、相も変わらずABCを上回るTACは「だめよー、ダメダメ」と壊れたロボットのごとく繰り返す人はもうお笑いである。さらにプール制などでしっかり自主管理しているのに、お上が決めた硬直的なIQを導入せよと主張する人がいるが、その温暖化した頭に向かって「IQで海水温が下がるのかぁ!」と叫びたくなる。