行政対応事務代行業

2019年3月27日

 私人間のトラブルは、最後は裁判で解決する。しかし、もし弁護士がいなければ、裁判所に提出しなければならない書面の作成など一般人には到底無理であり、おそらく裁判所を利用する者はほとんどいないと思う。現役の頃、国会議員から「せっかく予算を取ったのに現場ではほとんど活用されていない」とお叱りを受けたことがあったが、そこには同じような問題があるのではないかと思う。

 漁協の職員はぎりぎりの員数で、市場業務、購買事業など漁協の収益源となる業務に追われており、新規予算をじっくり勉強する余裕などはなく、行政対応事務の困難性を感じざるを得ない。

 例えば、離島関連の予算があり、今は活用しているが、以前はそうではなかった。その理由の一つは、かつてそれを利用した時、事務担当職員には日常業務を終えてからの仕事となり、その負担で「もう二度とやりたくない」であったようだ。だから合併を進め指導部門を強化すればよいというのが答えであろうが、その職員も現場から離れた本所にいるうえ、短期間で詳しくなることはできない。

 そんな状況の中で、これはよいやり方ではないかと思うことに出合った。昨年来、エコラベル認証取得の手伝いをしているが、そのためのデータ収集や資料作りなど、役人出身の私でも四苦八苦していたそんな時、民間の調査会社が国の支援を受けそのサポートをする事業があることを知り、早速活用させてもらってからは、急に仕事がはかどり始めた。やはり彼らは場数を踏んできたプロである。

 現場は実態を知り尽くしている。しかしそれと相手の求めるような理屈付けをしデータを揃えていく技(わざ)は別物。多くの現場はその資格があったとしても、申請に必要な書類を見ただけで大体は断念してしまう。「○○予算の申請・執行のご相談なら当社へ」といった「行政対応事務代行業」が増えると漁協職員も大いに助かる。