海をなめたらあかん

2017年12月22日

 規制改革推進会議水産ワーキング・グループ(WG)の議論を受け、第6回WGに水産庁から「水産政策の改革の方向性」が提出された。そこに「アウトプット・コントロール(数量管理)を基本に」「可能な限りIQ方式を活用」とあるのをみて、「海をなめるな、数量管理でコントロールできる相手ではない、必ず失敗するぞ」と思った。

 それは、この1年間に私の身の回りで起こったことなどからである。年明け早々熊野では過去初めて全くサンマが獲れなかった。続いて春先の伊勢湾のイカナゴは2年連続の禁漁。いずれも数量管理対象魚種。一方、伊勢湾で秋に大漁だったのはサワラとブリで非対象魚種。総漁獲可能量(TAC)対象7魚種をみると、資源が増えているのはマイワシとサバのたった2魚種。しかも、この2魚種はかつて採捕量が生物学的許容漁獲量(ABC)を上回ったこともある。瀬戸内海のサワラは資源量が10倍以上に増加したが、採捕量は一度しか試算されたABCを下回ったことがない。では、なぜ一度も採捕量がABCを上回ったことのないサンマとイカが激減しているのか。この現実を踏まえれば「数量管理などの充実を通じた資源管理の高度化」などと言っている方は、本当は何が目的なのかと疑いたくなる。もちろんその目的は資源という公共資本を、ITQで私的資本化しマネーゲームの対象としたいから。

 その導火線となるのがIQ。「可能な限りIQ方式を活用」としているが、IQの試験的実施を押し付けた北部太平洋まき網漁船の結果は、水産白書に「効果が見られませんでした」と書いてあったではないか。IQの目的である先獲り競争防止は、自主管理のできる日本漁業には不要。大型魚の選択漁獲も漁場における体長組成次第でわざわざ小型魚を狙う漁師はいない。水産庁はWGの素人委員に「海をなめるな!」「強欲丸見え!」とビシッと言ってほしい。みんな議事録読んで監視してますよ。