改革案に緊急アンケート実施せよ!

2018年5月30日

 規制改革推進会議水産ワーキンググループ(WG)の議論を踏まえ、5月24日の与党部会に「水産政策の改革について(案)」が水産庁から提出された。それを読んで驚いた。WGでもほとんど議論されていないような内容までが書き込まれていた。漁業権の優先順位廃止は言語道断。機械的なIQ強制など、愚の骨頂としか私には思えない。漁業団体・漁業者から海と資源を取り上げ企業に渡すのがこの改革の目的なのか。企業は成長産業化しても多くの漁業者には「漁業の混乱・衰退産業化」となるのは必至。こんなことで、改革の総論に掲げた「漁業者の所得向上」や「国境監視機能の発揮」ができるわけがない。

 出席者からの伝聞であるが、与党部会の場で中央漁業団体の代表者からは「漁業者が懸念することは議員がその対応を協議してほしい」とか「漁業者の納得を得て進めてもらいたい」という程度の発言にとどまり、改革案に対する明確な反対の意思表示がなかったという。現場に身を置く漁協役員という私の立場からして誠に残念でならない。ある議員が「これだけは駄目だという団体の強い意志がないと押し返せない」と発言したというが全くその通り。いったい改革案に対する現場の意見はいつどこで誰が聞いてくれるのか。

 そこで提案がある。全国の県庁、漁業団体、漁協に対し緊急のアンケートを実施し回答を与党部会に開示してもらいたい。というのは、JA改革では「中央会は単位農協の自由な活動を阻んでいる」という前提であったが、日本農業新聞のアンケートでは95%の農協組合長が「そう思わない」と答えており、中央段階での議論は現場の意見とは正反対の中で行われたからである。

 今回の改革案も現場の認識とあまりにもかけ離れている。この調査は役所と団体の連名でやるべきだ。裁量労働制にかかるデータのように、今の中央省庁は規制改革のためにはうそ、改竄(ざん)、隠蔽(ぺい)何でもありなので。