ワカメの等級再考

2019年4月23日

 塩蔵ワカメの製造工程の最終段階での汚れや変色部分などの除去作業は、一見地味で楽そうに見えるが、漁家にいわせると「肩が凝り、目がチカチカしてきていちばんつらい作業」とのこと。今年で4回目となる都会の高齢者にワカメ作業を手伝っていただく「結(ゆい)づくり」に来て、その作業を初めて経験した方が「こんなに丁寧に選別しないといけないのか、消費者はそこまで気が付かないのではないか」という感想を漏らした。

 その言葉にある漁家が「確かに、この面倒な選別作業が本当に必要なのかと思うことがある」と応じた。もちろん品質を細かくチェックし等級付けすることが大切なことは分かるが、中には1円でも安く買おうとする問屋が、あえてケチをつけるために「これは駄目」と言ったことを、漁業者側が過剰に反応してしまっているのではないかと。

 例えば、今年は全国的にノリもワカメも大不作であり、当地でも栄養塩不足のためか例年以上に黄色い葉っぱの部分が目立つ。濃い緑色が1等級の条件で、黄色が混じると2等級となるので、その部分を丁寧につまんで除く作業が延々と続き「アーもう嫌だ」となる。

 ところが驚いたことにワカメ漁家いわく、その黄色い葉っぱの部分は「濃い緑の部分よりおいしい」とのこと。その部分のみを集めたものは「ばら葉」として出荷されるが、今年は品不足のためか1等級より少し安い程度の値段が付いた。プロにはプロの鑑定の目があるのだろうが、こうなると素人の私には訳が分からない。

 浜がだんだんと人手不足になりつつある中、生産者、問屋、小売店(消費者)が顔を揃え、本当に必要な選別や等級付けなのかいま一度見直す必要があるように思える。ワカメには三陸や鳴門など産地名のブランドはあるが、品質にこだわった「○○ワカメ」というブランドがないような気がする。黄色を逆手に「ばら葉」を「黄金ワカメ」と称して売ったら面白そう。