Vol.161  次世代へつなぐ「鰻愛」

第1回料理コンテストで最優秀作品に選ばれた「うなカツキンパ」(右)

 養鰻発祥の地である浜松市で、「鰻愛(うなぎあい)あふれる街を次世代につなぐ」を使命に漁協と教育機関が一体となり取り組む「うなぎの街」プロジェクト実行委員会(うなプロ)が、活動を加速させている。今年5月下旬、浜名湖養魚漁協と1大学3高校1専門学校の5教育機関が連携、本格的に組織化した。ウナギ食の継承とともに、感謝と活力が循環する「鰻登りの街」の実現を目指す。古橋知樹実行委員長(浜名湖養魚漁協アンバサダー、(有)フルハシ3代目)に話を聞いた。

「うなぎの街」プロジェクト

古橋委員長


 今年で活動4年目を迎えたうなプロは、すでに連携していた浜松湖南高校に加え、浜松調理菓子専門学校や浜松学院大学、オイスカ浜松国際高校、聖隷クリストファー高校が活動に賛同し、今年度から連携したことで、組織実態を伴った実行委員会が正式に立ち上げられた。浜名湖周辺で養殖された「浜名湖うなぎ」への理解を深めるとともに、若い力やアイデアを取り入れ、地域活性化を加速させる。
 新型コロナウイルス禍中も回を重ね、思い出づくりの場を奪われた生徒らに活躍の場を提供してきた「高校生うなぎ料理コンテスト」は継続開催する。第1回では韓国料理からヒントを受けた「うなカツキンパ」が最優秀作品に選ばれた。古橋委員長は「思ってもみない食材の組み合わせや、ウナギをカツにする発想に驚きつつも、そのおいしさに感動した」という。
 

「うなぎチュロス」


 ほかにも未利用部位の頭(粉末)を混ぜたおかず系の「うなぎチュロス」や、カリッと焼き上げた骨を入れた「うなぼねパンケーキ」など、高校生ならではの斬新なアイデアが詰まった創作料理が数多く出品されてきた。
 今年度第5回の創作テーマは浜名湖郷土料理「勝手巻き」。創作にはウナギだけでなく、「地域の特産品や文化にも目を向けてほしい」との思いから、地元食材などの活用も条件として盛り込んでいる。

 
 
 

「うなぼねパンケーキ」


 参加生徒らは、うなプロでアレンジ料理を考案する中で、さまざまな形でウナギのおいしさを表現できることを実感。「新しいことに挑戦できる場」と、迫るコンテストに向け、意欲を燃やしている。さらに活動を通じ「ウナギの魅力を幅広く伝えたい」と〝鰻愛〟も芽生えている。
 組織化を契機とし、今年度は新たにウナギのプロモーション動画を作る「高校生うなぎの街映像コンテスト」や、園児・小学生を対象にした「うなぎの街こども絵画コンクール」も企画している。12月15日には、昨年開催した「浜名湖立うな重高校文化祭」の流れを引き継いだ「『うなぎの街』フェスティバル」を市内の浜松学院大学で大々的に開催する予定だ。組織化を背景に、より一層「学生が主役となり、さまざまなアプローチで「『鰻愛』を地域内外に広めたい」と古橋委員長は意気込んでいる。

 

5月26日には決起集会を開いた

若者のウナギ離れに危機感

 うなプロを立ち上げた背景は、「若者のウナギ離れ」に危機感を抱いたことがきっかけと古橋委員長。2014年に国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで、野生での絶滅の危険性が高い「絶滅危惧1B種」に掲載されたことによるイメージダウン。さらにシラスウナギの不漁に伴う価格高騰で、最盛期は浜名湖周辺に500件ほどあった養鰻業者も現在は27件に減少してしまった。
 「これまで日本の食卓に慣れ親しんできたウナギは大衆魚的な存在から高級魚になってしまい、子供時代に食べる機会が減ってしまった」。そこで18年、養鰻技術の勉強会などを行う生産者青年部「青鰻会(せいまんかい)」が、地域貢献事業として園児向けにウナギつかみ取りなどを開始した。
 その矢先、新型コロナが流行。全行事が中止となり、青鰻会の活動もままならない状況になりながらも、教育機関との連携を模索してうなプロの形に昇華させ、逆境を乗り越えてきた。
 「この地で養鰻が始まって120年以上の歴史がある『浜名湖うなぎ』が続いているのは、『鰻愛』あふれる地元の支えがあったからこそ。今度は自分たちが助ける番」と古橋委員長は強調する。この思いを次世代につなぐべく、うなプロの挑戦はまだまだ続く。

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