TACは死活問題、全国の沿岸マグロ漁業者が訴え

2018年6月13日

長谷長官に要望する沿岸漁業代表 

 太平洋クロマグロの漁獲可能量(TAC)制度が7月から沿岸漁業も対象になることに伴い、全国沿岸漁民連絡協議会(JCFU)と21世紀の水産を考える会は11日、東京・永田町の衆院第2議員会館で「クロマグロ漁獲規制の問題点」と題した緊急フォーラムを開いた。7月に実施が予定されているクロマグロのTAC配分に対し、「水産庁の大型魚の漁獲配分で死活問題になる」と全国から200人以上の沿岸漁業者らが参加して窮状を訴え、「TAC実施を保留させよう」などと声を上げた。
 冒頭、学習院大学法学部の阪口功教授が講演「水産庁は、幼魚と成魚枠配分の算出根拠を公開すべきだ。国連食糧農業機関(FAO)の精神に基づき、小規模沿岸漁業者の利益を優先することが重要で、まき網による産卵魚の大量漁獲は国全体に不利益になる」などと指摘。「太平洋クロマグロは大中型まき網漁業に耐え得る資源ではない」として、「国全体で得られる利益を最大化し、否定的影響を最小化する戦略が必要だ」と語った。沿岸漁業者らもクロマグロTACに対する意見を表明した。
 また漁業者代表らは12日、水産庁長官室を訪ね、長谷成人長官に対し、7月のクロマグロTAC実施の延期などを訴え、「延期するのかどうか」と長官に直訴。長谷長官は「皆さんの不安は改めて理解した。今、資源が回復傾向にあり、増枠できるようがんばる」と話した。[....]