AIで大型沖合養殖高度化、新日鉄住金Eなど産学官で

2018年3月7日

 新日鉄住金エンジニアリング?(東京都)は5日、大規模沖合養殖の実用化に向けた産官学連携コンソーシアム事業の内容を発表した。鳥取県栽培漁業センターや東京大学のほか、日本水産とそのグループ会社にパナソニックも参画する。イケス浮沈の機構や餌搬送などハード面の高度化に加え、人工知能(AI)などを活用した生産管理を実現するソフト面にも着手し、実装への動きを加速させる。

 研究は昨年10月に採択された農業・食品産業技術総合研究機構の「『知』の集積と活用の場による研究開発モデル事業(2017年第2次公募)」を活用し、21年3月まで行う。

 養殖魚の最適生産に向け投入するモノのインターネット(IoT)機器は、尾数や魚体重を計測し、環境測定や自発給餌機の稼働などの発生データを蓄積、解析する。AIで給餌に最適な量とタイミングを自動的に決定して、増肉係数の低減あるいは成長速度の向上を実現させる。

 漁場への環境影響評価や最適飼育密度の推定に向けて専用のソフトウエアを開発。環境負荷の低減を定量的に評価することにより、持続可能な養殖として認証機関からの認証を受け付加価値を付ける。

 同社は大規模沖合養殖の実現で養殖可能海域を10倍に拡大できると試算しており、各プロセスで高度化・効率化を図り「日本の水産業の発展と持続可能な社会の実現に貢献していく」考え。[....]