<FAO便り[134]>渡辺浩幹・FAO上席水産専門官/ウクライナ情勢

2022年4月7日

コロナろウクライナについてFAOのブリーフィング((C)FAO/Giulio Napolitano)

 3月25日にFAO本部において当地の各国代表部に対し、新型コロナウイルスとウクライナ情勢の食料安全保障への影響についてのブリーフィングが行われました。今回は、FAOの関連ニュースリリースとインフォメーションノートに基づき、特にウクライナ情勢の食料安全保障への影響について概要を報告させていただきたいと思います。

 ロシアとウクライナはともに世界の農産物の主要生産国です。ロシアは世界最大の小麦輸出国であり、ウクライナは第5位の輸出国です。両国合わせて、世界の穀物輸出の3分の1以上を占めています。また、両国は菜種やヒマワリなどの植物油や肥料の主要生産国でもあります。

 紛争によって生じるリスクには以下のようなものが予想されます。

 1.貿易・物流リスク:紛争により内陸部のインフラの破壊および港の閉鎖や船舶保険料の引き上げにより、穀物などの輸出ができなくなったり、輸送料が引き上げられる恐れがあります。[....]