<魚食にっぽん>[93]豊洲の魚食発信、機能と可能性

2018年10月29日

過去に築地で取引された最大重量のマグロの模型。7街区水産卸売場棟見学者通路で

 世界最大の魚市場だった築地市場の後継、東京・豊洲市場が11日に開場した。魚食文化の伝道師である街の魚屋が数を減らした代わりに、卸売市場がその役割を期待されるようになったが、新市場はどんな機能と可能性を備えているのか。魚食文化の発信拠点の視点から豊洲市場に改めて注目した。
 ゆりかもめの市場前駅直結の見学者通路の供用が開場2日後の13日に始まった。開市日の午前5時から午後5時まで。水産卸売場棟を早朝に訪ねれば、市場の“華”のマグロのセリが見られる。
 先着120人限定だった築地市場と違い、誰もが常に見られる点は魅力だし、水産卸売場棟1階マグロ卸売場の見学者デッキが来年1月15日から開放されれば、より間近からセリを見られる。
 そのほか通路上には、卸売市場制度と豊洲市場を知る見学ギャラリー、特大マグロ(一尾496キロ)の模型、実物のターレットトラック(ターレー)、魚河岸の歴史を紹介する写真パネル、写実的イラストで描かれた旬魚の紹介、一口料理メモなどが展開されている。
 展示物には二次元コードが付され、スマホなどで読み取ると15言語の表示が可能な多言語情報表示サービス「Toyosu Market Guide」に接続される。場内の飲食・物販店舗の地図だけでなく、市場の仕組みや基礎知識、魚のうんちくがあり、国籍関係なく情報が取得できる。飲食・物販店舗に比べて、見学者通路にはさらなる改良の余地があるだけに今後の進化に期待したい。[....]