<海獣と、人>㊥松田彩氏/温暖化で伝統諦める?

2022年10月25日

和歌山・太地町の漁野洋伸副町長も参加した

 2日間にわたる長い講演で、海産哺乳類の持続可能性について、人々の健康・栄養、無形文化遺産、アイデンティティー、経済的合理性、環境保護、食料汚染、食品安全、食料安全保障などの、現代社会で議論される観点はすべて網羅されたのではないだろうかと思えるくらい、幅広い目線で議論された。北大西洋海産哺乳動物委員会(NAMMCO)を通して、さまざまな地域がコラボすることによって、北大西洋のローカルな声を、より直接的に国際的な議論を呼び込み、それぞれの地域で完結させず、また、文化的アイデンティティーの意味付けをしながら、どのように持続的に、海産哺乳類を食料資源として生かしていくのかという壮大なテーマに向き合った。グローバルとローカルの衝突や、伝統対都市化などのジレンマ、食品としてのリスクと利益など、同時に混在しているさまざまな課題を、ビッグスケールの中でとらえ理解したうえで、最終的には個人の選択、地域や国の意思決定であることが、参加者の中で確認されたといえる。[....]