<商材シリーズ魚惣菜>ルポ・小岩「魚義商店」訪ねて

2017年11月2日

多彩な惣菜をそろえ店内で客を待つ魚義商店の渡邊一夫店長

 東京・京成小岩の駅前すぐにある魚義商店は、親子2代で営む元気印の魚屋さんだ。5年ほど前から力を入れ始めた魚惣菜販売が多くの顧客から支持を集め、平日から賑わう繁盛店となっている。理由は、ニーズに合わせて商売の幅を広げてきたことと、「いいものを安く」の精神が一貫していること。

 惣菜投入に踏み切ったのは2代目の渡邊一夫氏。仕入れ先の築地市場に毎日通って仕入れてきた鮮魚や冷凍魚を夕方のピークタイムに向けて、黙々と仕込んでいく。妻と長男の慎太郎氏夫妻、パート1人の5人で店を切り盛りするが、惣菜の仕込みは基本的に渡邊氏が担当している。

 魚屋といえば昔ながらの丸魚販売のイメージが強いが、魚義商店では常に地域のニーズをとらえて、販売形態を柔軟に変化させてきた。丸魚から刺身・切身販売、そして惣菜販売へ。「魚が高いから売れない」とただ嘆くのではなく、一品に使う魚の量が少ない惣菜に注目した。

 渡邊氏は「生魚販売とほぼ同じ利益率で値段設定している。手間賃は乗せていない」と裏事情を話す。量販店・スーパーの多くが、粗利を厚く見込める商材としてとらえているのとは対照的だろう。[....]