<クジラ探訪記④>クジラ“産業”の町・下関

2021年12月28日

シロナガスクジラの骨格標本(下関市立しものせき水族館「海響館」提供)

下関といえば真っ先に思いつくのが、いま旬を迎えているフグだが、それに負けないほどクジラの知名度が高い。広報役を担う下関市の岸本充弘下関くじら文化振興室長によると、同市とクジラの歴史は古く、約2000年前の弥生時代中期には骨を加工して「アワビおこし(採捕道具)」として使用されていたことも分かっている。山口県内の日本海側・長門の古式捕鯨「鯨組」が誕生してからは鯨肉や骨などを下関に集め、北前船に搭載。骨は薩長同盟を結ぶ薩摩に送られ、畑の肥料などに使われた。

長崎・生月の西海捕鯨「益富組」は営業所を下関の問屋街に置いたことから、西海捕鯨の鯨肉の中継基地でもあり、自然と下関に流通文化が生まれた格好だ。その後、明治新政府はロシアの南下政策に対抗するため日本海での捕鯨を支援してきたという歴史もある。[....]