2021年12月27日
全世界のあらゆる海に分布するイカだが、日本人と特に関係が深いスルメイカは不漁により供給が不足し、消費が減少している。ただ、イカとの距離が生じてしまえば、再び資源が回復した時に恩恵を享受しきれない恐れもある。約17年間イカだけを描き、イカと対話してきた画家の宮内裕賀さんに、食材だけでないイカの魅力を聞いた。
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鹿児島県在住の宮内さんは、画題としてイカを選ぶだけでなく、画材もイカから採取している。
イカ墨は粒子状に細かくし、アラビアゴムを混ぜて黒色を表現する。ただ、墨の色は真っ黒ではなく、イカの種類によって濃淡が異なる。ダイオウイカはわずかに緑がかっていたそうだ。画家のレンブラントやレオナルド・ダビンチも、イカ墨インクを愛用していた。「セピア色」のセピアは、古代ギリシャ語のコウイカが語源だ。[....]