風で開く未来/波崎水産加工協組が風力発電運用開始

2019年6月18日

稼働を始めた波崎水産加工組合の風力発電施設

 茨城県神栖市の波崎水産加工業協同組合(?木安四郎組合長)は、波崎漁港(新港)内に風力発電施設を建設、1日に稼働を始めた。組合の冷蔵庫の付帯施設として役立てる。限りない資源の「風」を享受する施設により水産資源の価値創造に活用、組合経営の維持・発展に努める。

 波崎新港は、太平洋に突き出た利根川の河口域に位置する。周囲に山地や大きな建物がなく、四方から一年中安定して吹く土地は、意外に少ない。波崎は全国でもトップクラスの風況に恵まれた地域だ。すでにJFはさき漁協が先行して2基を建設、運用する実績をもつ。加工組合も風力発電施設の建設を検討。メンテナンスや故障の少なさに着目しドイツ・エネルコン社製の発電機を選択した。

 風力発電の構造は風の力で風車を回し、その運動を発電機に伝え、回転速度に同期した電力を発電する。エネルコン社製品は間接的機構(ギアボックスなど)を介さず、回転力を直接駆動対象に伝達するギアレス構造に大きな特徴がある。シンプルな構造でメンテナンスや交換の頻度が減り、故障も起こりにくい。接触や振動を起こす部品数自体が少ないため、騒音を小さくすることができる。

 低回転時でも発電できる効率のよさも、ギアを介さない直接駆動のメリットだ。広い風速帯で稼働率が向上、年間の予想発電量は400万キロワットで、約1200世帯分に相当する。施設は組合単独で建設し、設置費用の借入金には日本政策金融公庫の漁業基盤整備資金(漁港)が利用されている。[....]