[9]過疎と生活保護

2013年5月22日

 甫母に住んで最も気になることは、この漁村がいずれ消滅しかねないことである。ここで生まれ育った人が退職を機に都会から戻ってくる例もあるが、子供が一人もいない現状ではそれも途絶える。若い人が戻ってくるための本筋は、生活できる漁業の再構築であるが、それ以外の方法はないのかと、あれこれ考えてみた。

 ある祝賀会で片山さつき参院議員にお会いしたのがきっかけで、著書「福祉依存のインモラル」を送っていただいた。増加する生活保護費の問題をまとめられたもので、特に不正受給の実態などには強い怒りを感じた。甫母は決して豊かではないが、生活保護を受けている人は聞いたことがない。それは自然に恵まれた一部自給的生活により生活費が安く済むこと、支え合い生きていく漁村社会の自立の精神があることなどではないだろうか。

 そこで思うのは、「たかり欲」丸出しの確信犯は別にして、生活保護受給者に過疎地に住んで漁業の手伝いをしてもらえないかである。そんな人はそもそも生活保護など受けていないと言われればそれまでであるが、前は海、後ろは山、新鮮な魚、まるで高級旅館にいるような魅力もある。若干の欠点は時々「島流し」の気分になること。田舎に住みたいが仕事がないという人も多い中、受給者は生活費は受給している。受給者230万人の1%でも漁業就業者数が10%も増えることになる。

 課題は閉鎖性の強い漁村との交わり方だが、廃校になった校舎を活用し、食事、風呂を共同にするというアイデアはどうだろう。そこが住民との交流の場にもなり、漁業や加工の手伝いをしてもらうきっかけができる。受給者の世話や住民との間の連絡・調整役を地元出身の若い人の仕事としてやってもらう。
 最後に最も重要な生活保護費の地元負担は、出身の自治体または国が肩代わりする。これがないと財源に乏しい過疎地を抱えた自治体の首長さんは大反対する。以上、全くの素人の考えであるが実現性はあるのだろうか。