親ウナギ保全意味ある、東大でシンポ「うな丼の未来」

2019年7月10日

 東アジア鰻学会が主催する公開シンポジウム「うな丼の未来7」が8日、東京大学の弥生講堂一条ホールで開かれた。テーマは「ウナギのいま」。学会長を務める塚本勝巳東京大学特任教授は講演で、「親ウナギ保全の取り組みには意味がある」と強調した。

 平日開催にもかかわらず約180人が詰め掛け、関心の高さをうかがわせた。資源管理の機運が高まる中で講じられてきた対策の評価について行政・研究・保全の3分野から検証し意見を交わした。

 行政から水産庁がニホンウナギの資源管理について、環境省が生息地保全についてそれぞれ現状を説明。続いて塚本特任教授が「ウナギの海洋生態研究」と題して話した。塚本特任教授は、これまでの研究成果を振り返って、マリアナ海溝付近の産卵域の知見や日本からの回遊経路を説明。河川の生息環境が悪化するにつれて川に上らずに海や河口にすむウナギが増え、産卵域の親ウナギもこれらが主流を占めていることを紹介。産卵域で捕獲された親ウナギの耳石の調査を通じ10尾のうち少なくとも2尾が日本の河川に生息していたと解説。親ウナギ保護の意義を強調して「やりがいがあること」と、全国でウナギ保全に取り組む関係者にエールを送った。[....]