絵本「しらすどん」刊行

2021年8月6日

著者の最勝寺さん。原画展は10日まで開催中

 神奈川県小田原市在住の絵本作家、最勝寺朋子さんのデビュー作「しらすどん」がこのほど岩崎書店から刊行された。主人公の「りょうくん」がお母さんの作ってくれたシラス丼に乗っていたシラスを1匹だけ食べ残したことから始まる物語だ。

 食卓の魚がどこから来るのかという食育のテーマや食品ロス、生命の起源に至るまでさまざまな要素が詰まった斬新なストーリー展開で、大人も子供も楽しめる作品に仕上がっている。

 本書の魅力は、「顕微鏡を買って自宅で観察した」というシラスの精緻なイラスト。徹底的な取材を重ね、水族館や博物館で魚の生態や形質について詳しく学んだ。シラス漁にも同行し、網の動きは模型を作って自宅の浴槽で観察したという。

 小田原の自然の中で育ち、海を身近に感じていたという最勝寺さん。「身近な環境問題に取り組みながら、人々の暮らしをよりよくするものを探したい」という思いを以前から抱いていたという。[....]