米国SIMP対応へ、食需給研が宮城で水産トレサ研修

2018年3月12日

 水産輸入品に生産履歴証明(トレーサビリティ=以下トレサ)を求める動きが世界で高まっていることを受け、食品需給研究センターは8日、宮城県気仙沼市で、海外の同制度などをまとめた「水産物トレーサビリティ導入ガイドライン」(水産庁委託事業)についての研修会を開いた。同センターの酒井純主任研究員は「欧州連合(EU)に続き米国も今年から監視体制を強化し、拡大の可能性もある。産地市場にある必要な情報を事業者がアクセスできる体制を整える必要がある」と提言した。
 水産トレサは、資源の持続的利用に向け、違法・無報告・無規制(IUU)漁業の漁獲物の排除を目的に世界で広がりをみせている。2008年に先行して導入したEUに続いて、米国も今年1月1日から水産物17品目を対象としたトレサ(水産物輸入監視制度=SIMP)を義務化。マグロ類やカツオ、サメ類など、独自にIUU漁業で漁獲されることが多いと判断した種と加工品を対象とした。
 酒井主任研究員は「以前からあるイルカ保護のための制度でも漁法や操業海域に関する情報の提示は求められたが、今回IUU漁獲物に対する規制がより強化された」と指摘し、直接輸出のほか、他国に原料を供給した場合も情報提示を求められることなどを説明。「東京・築地ですでに情報提示を行っている業者もいる。気仙沼のように原料水揚産地でも早急な対応が必要」と解説した。[....]