科学重視の法整備を、「資源管理と公平性」でシンポ

2017年6月27日

基礎データの収集が重要と指摘するディスカッション。右から八田所長、ハインズ所長、小松研究員

 「漁業資源管理と公平性」をテーマに話し合う国際シンポジウム(東京財団主催)が21日、都内の同財団ビルで行われた。メインスピーカーを務めた米スミソニアン環境研究所のアンソン・ハインズ所長は「資源管理の強化などで変化を選択すれば、損をする人が必ず出る。しかし変化を起こさなければ何も変わらない」と変化の必要性を強調。パネリストからは、「水産に関する基礎データの収集不足」が指摘され、基礎データの収集強化や、科学を重視した法制度の必要性を訴える声があった。

 ハインズ所長は、米国東岸にある米国最大のチェサピーク湾の資源管理の例を挙げて透明性と開かれたコミュニケーションの重要性を指摘し、「大切なのは次の世代に資源を残せるかだ」と述べた。

 東京財団の小松正之上席研究員は、現在の漁業法について「科学的根拠や資源の持続利用より、漁業慣行に基づく地域間の紛争調停など人間関係を重視した規則だ」と指摘。

 八田達夫アジア成長研究所所長を交えたディスカッションでは、日本の漁業に関する基礎データ、経済性などのデータの不足も指摘され、漁協にも手伝ってもらいながら、漁業者以外の第三者も参加し、基礎データの収集をしっかりしなければいけない」などの意見が出された。[....]