漁船の有毒ガス検知を低コスト安全に、石川電装が開発

2019年5月9日

 船舶の電気設備工事などを行う石川電装(気仙沼市、石川貴之社長)は、発生した有毒ガスが人体に影響を与える濃度に達する前に検知し、警報を出す「O2レスキューシステム」を開発した。空気中の酸素比率の低下を検出基準にしたことで、あらゆるガスの種類に対応する。漁船の冷凍機に新たな冷媒が開発・導入されても検査機器を買い替えずに済むため、低コストで航海の安全を支える。

 有毒ガスの特徴を把握し、異常値に達すれば警告する現行の警報機に対し、同システムは逆転の発想で開発。ガスの種類にかかわらず、空気以外の気体が増えて酸素比率が減ると警報を発する。

 特に空気が滞留しやすい機関室を、主な設置場所に想定する。ほかにも排ガスやプロパンガス、アンモニアなど人体に影響を及ぼしかねない有毒ガスにも、ガス漏れの際に共通する「空気中の酸素比率の低下」を検出基準にしたことで、将来にわたり警報システムの投資コストが抑えられる。

 既存船でも工事は必要だが後付けが可能だ。陸上の冷凍設備での使用や、造船場では塗装による中毒災害防止にも応用できる。標準装備される携帯式の濃度計は、魚倉作業の際に役立つ。定価は75万円(消費税および工事費は含まない)で、6月から販売を開始する。[....]