海生研が気候変動シンポ「影響南北から」など事例報告

2018年8月2日

講演後は気候変動の影響について発表者による総合討論も行われた

 海洋生物環境研究所(海生研、香川謙二理事長)は7月31日、東京・御茶ノ水ソラシティで「気候変動と海生生物影響」をテーマにしたシンポジウムを開催した。海水温上昇や酸性化について複合化による深刻さを強調。有効的な緩和策として期待される洋上風力発電などを効果的に進めるためにも、影響予測や調査手法の開発への研究に必要性を訴える声が挙がった。
 水産研究・教育機構水産工学研究所の桑原久実水産土木工学部長は、海藻の場合水温上昇による消失のほか、南方系食害生物の分布域の拡大などに言及。低緯度帯(南)からの変化を紹介した。
 海洋酸性化について海洋研究開発機構地球環境観測研究開発センターの原田尚美センター長代理は、大気中の二酸化炭素が海に溶けやすい条件に「低水温」と、「温暖化による氷の溶解」を挙げ、高緯度帯(北)から顕著に起こる被害の進行を解説した。
 気候変動の緩和に政府は第5次エネルギー基本計画を閣議決定、再生可能エネルギーの最大限の導入が示され、洋上風力発電の導入・拡大が不可欠とされているが、洋上風力発電施設自体が少ないうえ環境影響評価には課題が多く、海生研中央研究所海洋生物グループは現場で有効な調査方法の開発も合わせ、安全性の確保と事業者の負担軽減に貢献。エネルギー生産と海洋環境の調和を提言した。[....]