海洋酸性化に強まる懸念

2022年8月17日

酸性化ではカキをはじめ貝殻などへの影響が指摘されている(写真はイメージ)

 主要魚種の漁獲不振や分布範囲の北上、磯焼け、沿岸部の自然災害拡大など海水温上昇による影響が指摘される中、次の環境変化として海洋酸性化による漁業への影響が懸念されている。大前提として、現段階では国内での直接的な被害は確認されておらず、漁業被害を及ぼすには達していないと判断されている。しかし、被害が発生してもおかしくない数値を複数回確認。今後は被害を受けやすい貝類などの生育に支障を来す可能性を拭い去れないのが実情だ。

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 海洋酸性化による漁業への影響は、日本財団と里海づくり研究会議(岡山市、松田治理事長)が主体となり、「海洋酸性化適応プロジェクト」の一環として漁業関係者や内外の産学官研究機関など20以上の組織が参画する形で、2020年6月から初の本格的な調査が実施されている。対象は、酸性化により影響を受けやすい貝類、その中からマガキ養殖が選ばれた。[....]